編集長のつぶやき
2011年05月号 「信頼の三角形から育つもの」
いやゆる『心技体』です。
心技体をうまく育てるには、現状の環境においてスポーツを『やらされているか、すすんでやっているか』というところが重要になってくると思います。根底を探れば『目標を持って楽しんでやっているか』ということだと思います。
たとえば児童期が全てとし、技術の向上だけなら、『厳しくやらせる』で、ある程度の選手・チームは育つでしょう。そしてそれなりの栄光を掴む事もあるでしょう。しかし『心技体』全てを得る事は難しいし、バーンアウト(燃え尽き症候群)してしまう可能性が高いと思います。
あるイルカの元調教師に、こんなお話を伺った事があります。
イルカに芸を仕込むということは、まず何日も何日もかけてイルカの性格を知り、人間とイルカとの心が通じあってこそ成り立つのだそうです。そうすることによって、息の合ったパフォーマンスができるという。そういう環境で飼育・調教されたイルカは、元気よく長生きするのだという。
調教師によっては、イルカの心を無視して芸をたたみ込み、短期間でパフォーマンスを完成させることもあるという。しかしそういう調教を受けたイルカは、ストレスなどで健康なイルカに比べて寿命が半分以下になってしまうそうです。
人間を含めすべての生態系において、心が通じるということが、そして相手を思いやるという心が無ければ幸せな結末は生まれないという事を痛感させられたお話でした。
話を戻します。小学生のスポーツにおいて『やらされる』環境では絶対に『心技体』を育てることは出来ないということです。子ども達自身と、彼らを取り巻く指導者、親がしっかりとした信頼関係で結ばれ、一つの同じ目標に向かった時に楽しさが生まれ、結果はどうあれ、その過程の中に『心技体』が育つのだと思います。まずは、信頼関係です。
編集長 中村和久