るるりっこ
2014年10月号 第6話「野球やめるかも…」
リコん家・・「リコ、あのソフトボールどう思った?オクダさんは、ぜひ入部して欲しいと言ってたよ。」
リコパパは内心、俄然乗り気であった。クラブチームの一生懸命な姿に魅了されたのと、娘にもっと視野を広げていろんな経験をして欲しいという願いが大きく膨れ上がっていた。しかし、毎日船に乗って通わなければならないという不安な面もあり、とにかく娘の思いを聞くことにした。
リコ・・「めっちゃ凄いなぁ~と思った!リコもあんなふうに上手になりたいし、一生懸命頑張れそうやし、ソフトボールしたいと思った!でも・・・」
リコパパ・・・「でも?」
リコ・・・「・・・。」
ルルん家
ルルパパ・・・「すごかったなぁ!ルル。ルルはあのチームに入りたい?」
ルル・・・「入りたい!入りたい!ルルも絶対あんなふうに上手になるよ!でも・・・」
ルルパパ・・・「でも?」
ルル・・・「・・・。」
好奇心旺盛で活発な性格のルルリコは、女子ソフトボールに大変興味を示した。しかし、いざ入部するという話になると二人とも「でも・・・」の言葉を残した。その理由は二つあった。
そのひとつ、両家のパパとの会話で「でも・・・」の沈黙の後に出た二人の言葉・・・。
リコ・・・「ルルちゃんは?」
ルル・・・「リコちゃんは?」
やはり、お互い二人一緒でないと何も始まらないようでした。しかしその一つ目の不安は次の日の学校で、お互い話合ってすぐに解消されたようでした。「やっぱ挑戦したい!」と。
しかし二人が抱える、もうひとつの不安が彼女達を悩ませていた。それは、島の友達と一緒に頑張っている野球でした。
小3の頃からの島の友達と始めた野球。二人の姉達は中学生になり野球は卒業してるが、2年半もの間、初めてのキャッチーボールから頑張ってきた同級生・・・ハルト・リク・ケント・ヒロキをうらぎってしまうような辛い思いが大きかったようでした。ルルリコとハルト達6人は男女関係なく兄弟のように一緒に野球を楽しんできた仲間だった。それだけに言い出しにくい事実だった。
いつまでも二人で悩んでいてもキリがないと、二人は意を消して仲間にその一連の流れと自分達の思いを伝えることにした。そして放課後・・・。
ルルリコ・・・「野球やめるかも・・・」
仲間・・・「ええっ!」「・・・。」
しばらくきまずい沈黙が続いた。