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るるりっこ


2015年11月号  第18話「可能性を楽しむキッカケ」

 34対0…。
 練習試合とは言え、あまりにもの大差で実力の差を見せつけられた島のソフト部、そしてルルとリコ。小学生時代、練習は辛かったものの華々しい成績と充実した過程を経験していたルルとリコは大きなショックを受けていました。
 島の先輩達と楽しくソフトボールができる道を選んだことに疑問が浮き上がってきました。確かに毎日が楽しく、叱られる事もなく練習ができる…。しかし楽しいだけでは結果が出ない事を知ったのでした。そして同時に、小学生時代には感じたこのない「屈辱」という感情を知ったのでした。
 とにかく「このままでは嫌や!」という気持ちと「絶対島の仲間で!」という環境を恨まず、高みへ向かう気持ちで、前に進むことを誓った二人でした。
 また先輩達も同様の気持ちで、これまで以上に練習を重ねました。その姿を見た父兄は学校以外でも練習ができるようにとナイター練習ができる環境を創りだしました。
 そして一ヶ月後に行われた中日本大会地区予選では、父兄も含めた努力のかいあって鳥羽市で勝利する事ができ、鳥羽支部代表として県大会に出場を決めました。
 そして県大会では一回戦四日市支部の代表と対戦し2対0で勝利し、二回戦に進むのでした。
 先日の練習試合から、この短期での成長ぶりに父兄も驚きを隠せませんでした。選手共々この勝利を存分に喜んだそうです。そして、ほんのわずかですが自信というものがチーム全体に生まれてきました。 ルルとリコもこの感触を…島の仲間とそして姉達と分かち合う喜びを味わえる事に、とても嬉しそうに満面の笑みを浮かべていました。
さて、二回戦の対戦相手は三重県の強豪度会中学校でした。一回戦の勝利の喜びが冷め止まないまま、二回戦試合開始!父兄の間では不安しかありませんでした。それもそのはず、つい一カ月前は全く試合にならない状態をまざまざと見せつけられたばかり。
 しかし選手達はというと、父兄の不安な気持ちとは裏腹に、一回戦の勝利の余韻なのか、なぜか表情も明るくこれまでにない程の大きな声でグランドを駆け回っていました。
 その姿を見た父兄も少し安心し、知らないうちに子ども達につられるかのように大きな声援を投げかけていました。
 そうなると不思議な事が起こるものです。つい一ヶ月前には、試合開始早々二ケタ得点を取られて全く試合にならなかった度会中相手に、四回まで0対0…。選手は必死過ぎて何が何だか分からない様子。点数の事など頭の中にはなく、ただただソフトボールに一生懸命でした。これには、父兄も絶句し、手の震えがおさまらない人さえいたそうです。
 しかし、実力は実力。ひとつきっかけを掴んだ度会中は一気に点数を重ね五回に7点を奪い、そのままコールドゲームとなりました。
 試合終了後、島のソフト部はコールド負けしたものの、なぜか晴れやかな表情をしていました。その瞳は既に夏の大会へと輝き始めていました。
 「やればできる!」
 この大会で得たもの…。練習試合での悔しさから始まり、大会での初勝利の喜び、そして強豪相手に微かな可能性を見れたこと…。夏に向って自分達の可能性を楽しめるきっかけとなった大会となりました。そして約2ヶ月後の夏の大会では、3年生はもちろん、入部したばかりのルルリコにとっても中学校最後の大会になってしまうかも知れない大会です。 俄然気合が入る島のソフトボール部ですが、その運命はいかに…。


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